ウェイン・W・ダイヤー著「準備が整った人に、奇跡はやってくる」を読んで、自分たちに必要な導きを与えられた気がしました。

ウェイン・W・ダイヤー博士はアメリカの心理学者で、私の好きな作家の一人です。スピリチュアル・マスターとしても有名な人で、2015年に亡くなる前の講演会の様子などをYouTubeで観るととてもパワフルな人のようでした。この著作でも、とてもパワフルなトーンで私たちの潜在的な可能性について目を見開かせてくれます!

Real Magic

この本の表示の日本語タイトルの上には、ゴールドの小さな文字で「Real Magic」という言葉が副題のように書いてありますが、これは原題の”Real Magic-Creating miracles in every day life”から来ているようです。

光の加減で見えにくいかもしれませんが、Real Magic とあります。

つまり、この本は、日常生活が好転するとか、ポジティブに考えることで色々なことがうまく行くという身近なレベルだけの話ではなく、私たち人間の本質についてダイアー博士が信じるに至った内容について解説し、その本質を開花させて生きるための魔法を教えてくれている本です。

序章:奇跡は待つより、自分から起こすもの

多くの人は、奇跡というのは色々なタイミングが合わさって運の良い人にだけ起こるものと捉えがちです。

しかし、ダイアー博士は、奇跡は自分で不可能と思っていたことを自分が実現することを「分かっていること」だとします。

それは、長い間自転車に乗っていなくても、ある日自転車に乗れば自分は乗れると分かっているというのと同じくらいシンプルなことであると。

人の奥深くには、「無限の可能性」をもった場所が存在し、ここに辿り着くことができれば、奇跡を生み出すことは容易いことだと博士は続けます。

その場所は私たちの高い意識レベルであり、そこは物質的世界を凌駕する、「どんな環境においても心の平静を見つけ出す能力」がそこには秘められているのです。

宇宙に存在する完璧な秩序を理解し、その秩序に自分自身を委ねることで、私たちは「人生に奇跡を起こすことができる」と博士は説きます。

では、その宇宙の完璧な秩序を理解するために、私たちはどうすれば良いのでしょうか。

この本の中で、ダイアー博士は過去、現在、未来の自分と自分を取り巻く環境に対する見方や理解を変えることで、よりスムーズに関係性が構築できる考え方や感じ方を提唱します。

過去の自分と現在の自分

私たちは、どうしても自分の出自や現在の職業、生活環境で自分を定義しがちです。

幼い頃、親の口からよく聞いた言葉を自分の中の社会の判断基準として用い、それゆえに、自分には大したことなどできないと思いがちです。

そして、努力して自分の目標を達成することに価値があると教わり、自分なりに自分に相応しいと思う目標を決めて、努力し、それが達成できる時もあれば、できないこともあります。もちろん、それは間違いではありません。

この世界においては、目に見えること、手で触れること、五感で確かめられることが現実であり、物理的に存在する身体が私たちの本質であると多くの人は信じています。

このような認識の下では、過去の自分の不幸の原因を環境や親のせいにしたり、現在は過去の自分の延長線上にあるものに過ぎず、未来にも大きな変化はないだろうと、人生を諦めがちになる人も少なくはありません。

何か奇跡的なことでも起こらない限りは。

ダイアー博士も人生のある時期までは、ここに書いたような人生の捉え方をしていたようです。

博士は貧しい家庭に生まれ、苦学して博士号まで取得したものの、心の中にいつも欠乏感があることから、常に何かが足りない状態、何かを求め続ける苦しい状態が続いていたようです。

何が契機となって、博士が奇跡を待つ者から起こす者に変化を遂げたのかはこの書籍からは明らかではありませんが、博士は、「人生を一枚の織物に例えるなら、今の視点からすると(私の人生において)1カ所として不必要であったり、不完全だったところはありません。」と言い、人生の全ての体験を美しい織物として、あるいは自分が高い意識へ向かうための旅だとします。(確か、シルバメソッドを受講したことがダイアー博士の心に大きな変化をもたらした原因だったと言われていたことを思い出しました。)

そして、「なぜ自分だけがこんな目に遭うのか?」という意識から脱皮し、苦労した過去も「必要な道」であったと考えることで今よりも価値ある人生への一歩が始まり、「結果」を追うだけの生活ではなく、人生には「大きな使命」があり、それとともに歩み続けることで奇跡を生み始める道が始まると説いています。

「古い自分から抜け出す」

ダイアー博士は、私たち人間は五感を超えた存在、つまりスピリチュアルな存在であると言います。

私たちは、肉体を持った魂を本質とする存在で、魂は物理的世界に支配されない無限のものであるという見解に立脚します。

現代の私たちは、自分を否定したり、自分にはないものをもつ他人を羨望したり、心が休まる時がありません。

しかし、スピリチュアルな人は、目に見えない精神的な力に導かれることが当たり前で、自分は一人でなく、自分が出会う人は全て「自分の分身」と捉えるので、自分と他者との間に隔たりを感じることなく、相手を判断することもありません。

「因果応報」と良く言われますが、スピリチュアルな人は、人生には常に「因果を超えた力」が働いていると分かっていますから、自分の物理的な努力を超えた結果が起こりうることも信じられます。

精神性から分離している人ほど、高い地位や財産の所有を目的とする傾向があるようですが、スピリチュアルな人の焦点は「成功」にあるのではなく、人生を豊かにするのは、他の人々に何を与えられるかで決まると知っています。

もちろん、スピリチュアルな人が社会的な成功を否定するわけでも、金銭的な豊かさを否定するわけでもありません。

それらは、結果として現れるものであって、目的や目標とするものではないようです。

この本の中で、たびたび「スピリチュアル」な人とそうでない人というのが登場します。

私の理解では、魂の存在を肯定し、この世界で生きるという体験をするために魂が身体という物理的存在を持ったと考えるのがスピリチュアルな人で、魂や心は脳の働きの一部で、目に見える物質世界での成功や失敗がその究極的な人間の存在意義だと考える人をスピリチュアルではない人と呼んでいるようです。

私、彩子は、子どもの頃から、人間には目に見えない力があると漠然と考えてきました。

また、何故か、良くても悪くても起こることは自分の考えたとおりに最終的には落ち着くものだとも思ってきました。

ただ、これまでの人生を振り返ると、現実に起こる出来事に自分の感情を左右されたり、自分と他者との関係性を年齢・性別・職業などで区別してその、いわば外側で判断して構築してきたように感じます。

そういう意味では、私もこれから自分の人生に奇跡を起こしていくには、ダイアー博士のいう「古い自分」から脱皮しなくてはなりません。

「古い自分」から抜け出すと

ダイアー博士は、古い自分から抜け出すには、「瞑想」の世界で心を空っぽにして、静かに自己の内側を見つめて時を過ごすことが必要だと言います。

瞑想することで、思考は明確になり、ストレスも和らぎ、気分も軽く生産的な生活が送れるようになると。

瞑想により心が空っぽになると、「目に見えないメッセージ」が直感の形で読み取れるようになるそうです。

また、恐れ、怒り、憎しみのエネルギーは肉体的にも精神的にも、大変なエネルギーを費やします。

自分の苦手な人や嫌いだと思う人に対しても、そのように判断する前に相手の魂に愛を送ることで、相手から思わぬ反応が返ってくることもあるようで、それにより相手のことをより許容できる自分に変化することができ、それまで費やしていたマイナスのエネルギーをプラスに変えることもできるようです。

「みんなが通る道」より「私らしい道」

過去の自分、現在の自分がどうであり、精神的に豊かな人間になろうと決意するだけで、素晴らしい選択ができるとダイアー博士は言います。

「奇跡は、どのように自分の道を選ぶか、どのように心を使うか、そして、自分の心の使い方で世界が変えられると、どれだけ信じられるかーその結果です。」

具体的な行動を博士はいくつか提唱していますが、その中で私の印象に残ったものを挙げます。

「内面日記」を付ける。何が具体的な行為を生み出すのか、元になった感情を全て書き出す。

ハートの「イメージトレーニング」をする。日頃むずかしいと思っていることを、想像力を使って理想どおりに行なっている自分を想像する。詳細を記録して、6〜7回繰り返す。実社会で理想が実現した時、互換の限界は打ち破られるそうです。私は、ゴルフスイングをこの方法で練習しようと思います。

「疑いゼロ・デー」を作る、たとえ1日でも。静かな場所で静かな時間を作り、心の中を空っぽにして、悩んでいることについて天の助けを求めてみる。愛情あふれる案内人に導かれるイメージを作る。

「夢を記録する」

「苦手な人に手伝いを申し出る」

「心の中に敵を持たない」

「こんな自分」こそ大切に扱う

「結果でなく目的に焦点をあてる」

「財産を貯め込むだけの人生にしない」

ガチガチの「社会ルールは手放す」

「否定地獄」から抜け出す

「一兆個の細胞」に感謝する

人を「許す」。そして救われる。そういう人々は私たちの人生に教訓を残すために登場したのである。

これから手に入る富に限界はない

ダイアー博士は、他人の行動を判定せずに、相手との理想的な関係が築けるような考え方をすることで、関係の質を自分で決めることができるようになると言います。

目の前の人は、自分を映し出す鏡であり、自分の目的は与えることであって、もらうことではないと知り、相手のして欲しいように自分がしてあげることで、最終的には自分にそれ以上のものが還ってくると言います。

相手を生かすほど自分もまた生きてくるのであると。

そして、人間関係において「わかり合わなければ・・」という思いを捨てることで、人間関係が豊かになるとも言います。

確かに、夫婦だから、恋人だから、親子だからといってお互いのことを分かり合えるはず思うのは無理があると思います。分からない部分も含めて相手を受け入れる方が、相手も嬉しいはずです。

そして、自分には〜がないという「欠乏感」や「不足感」を持たないことが豊かさには不可欠と博士は言います。

豊かな人生をと望みながら、自分には〜がないという欠乏感を心の底に抱いていては、結局はいくらお金や社会的地位が与えられても、満足感は得られません。

豊かさは、「豊かな考え方」「豊かな行動」「豊かなもの」と分割されてるわけではなく、自分は豊かであるという意識が豊かな体験を作るものです。

豊かさは身につけるものではなく、自分の中に既にあるということに気がつけば、必要な富はいくらでも後からやってくるようです。

ダイアー博士はこの点について、二つのことを提唱します。

  • 「価値ある自分」を徹底的に信じる
  • 「他人の豊かさ」を喜べる人になる

心の中に豊かさの「専用コーナー」を確保し、豊かな状態にいる自分を細部まで詳細にイメージする

そして、物質的な財産がなくても自分を豊かだと思い、その思いにしたがって行動していると、そのうちにその思いに比例して、物質的な財産が不思議なことに舞い降りてくるそうです。

自分らしい才能を輝かせるために

私たちは、自分の性格を今日から選ぶこともできるとダイアー博士は言います。

DNAも化学物質も家庭環境や家族のあり方も、そして社会の習慣や時代の呪縛さえも、私たちがなりたい自分になることを止めることはできません。それらは、私たちをがんじがらめにするための「大きな嘘」だったのです。

そして、その「大きな嘘」に打ち勝つためには、新しい力、強い信念が必要です。

「自分は自分で希望する人生を自分で選べる」ということを腑に落とさなくてはなりません。

この本を読み終えて

この本を読み進めながら、それまで魂の存在を信じるとしながらもどこかで現実とスピリチュアルな世界とは別次元と思ってきました。

潜在意識の壮大なパワーも理屈では分かっていたつもりでしたが、その活用には自分の顕在意識で行けるところまで行かなくてはならないと思ってきたのです。

そして、奇跡とは自分の能力の限界までチャレンジした者に訪れる稀有な現象だと理解していました。

しかし、ダイアー博士はそんな私のちっぽけな認識をこの本に書かれたことで吹き飛ばしてくれました。

私たちは、「魂を伴う肉体」ではなく、「魂が肉体に入った存在」だということを初めて強く認識しました。

心がまず先にイメージを描き、そのイメージが現実に起こっていくという順番なのだと分かりました。

それこそが奇跡なのだと。

それから、顕在意識の「意志」によって潜在意識を意識を方向づけるという事もこの本を読んでいく過程で理解できました。

私にとっては、とても大きな気付きを与えてくれる大切な一冊となりました。

この本は魂の存在を信じる人でなくても、日々の生活や人生を好転させるためのたくさんの実践的なヒントが散りばめられています。

そういう意味では全ての人にお勧めしたい本です。

でも、もし、魂の存在を信じ、潜在意識とか目に見えない力というものを信じられるのであれば、本当に素晴らしい魔法の書とも言える本だと思います。

全ては心の中に始まり、心の中で描いたことがやがて現実となるという、宇宙の法則ともいうべき考え方を受け入れるかどうかは個人の自由ですが、私はこれを信じてやってみたいと思います。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!

この記事を書いた人

saiko

Saiko

アメリカ留学を経て、予備校や学習塾での英語教育に携わること約10年。在職中に英検1級を取得。TOIEC985点。法律関係に転職し、夫婦で同業、共働きしながら現在に至る。留学や受験時代の体験から人の潜在意識や潜在能力に関心を抱く。夫の星二の50歳の誕生日を機に、星二の夢である「ゴルフでシングルに」に一緒にチャレンジするべくゴルフを習い始める。3年で100切りを目指して、趣味の英語と旅行も織り交ぜながら、星二と一緒にゴルフの上達を目指す。楽しく上達がモットー。現在のベストスコアは、117。