ゴルフのプロをコーチする井上透さんの「弱小集団東大ゴルフ部が優勝しちゃったゴルフ術」(主婦の友社刊)では、縁あって指導することになった東大ゴルフ部を最下位のDブロックで優勝させるまでの指導法とゴルフ理論が具体的に示されています。それまでの東大ゴルフ部は、技術を身に付ける指針も、練習環境も、体力もゴルフ経験さえもないという状況でしたが、井上コーチがゴルフ上達に必要な仕組みを導入したことにより、10か月という短期間で部員の意識もゴルフの腕前もがらりと変わったようです。この仕組みは一般のアマチュアゴルファーにも役に立つものと思い、自分でする練習内容の参考になればと手に取ってみました。
東大ゴルフ部はサラリーマンゴルファーと同じ?
本書によれば、東大のゴルフ部員は70名いましたが、どの人も学業をないがしろにはせず、限られた時間と予算(資金が潤沢にあってゴルフをしている人は皆無の状態)の中で勉強とゴルフ上達の両立を図ろうとしていたそうです。
そして、井上コーチが縁あってコーチになった時には、70名の部員がめいめい自分にできる最大限の方法で練習に取り組んでおり、全体練習は週一で集まって、30分ランニングをするだけ、それと週3回行っている練習場での練習に2回以上参加することが義務付けられているだけで、ほぼ自主練状態でした。
これでは、ゴルフ部と言っても、やっていることは「練習してもうまくならないんだよね」とぼやく一般のサラリーマンゴルファーと同じだと井上コーチは言っています。そして、部品のほとんどがゴルフ慣れしておらず、就職活動にゴルフ部所属と書くことを目的として部員になっていた人もいたそうです!
このように、ないない尽くしで、体育会系ゴルフ部が一般にもつ「習う仕組み」も「うまくなる仕組み」も、「部が強くなる未込み」も皆無の状態から、指導開始後10ヶ月で大変革をもたらしたのです。
その仕組みを本書から抜き出して、自分たちにできる範囲で自主練に取り入れていけば、きっと今の自主練よりも充実した練習ができると私、彩子は確信し、自分たちに応用可能な練習の仕組みをピックアップすることとしました。
うまくなるメカニズムと目標
井上コーチによれば、「うまくなるには理由がある」そうです。やれば必ずうまくなる。しかし、それには闇雲にやるのではなく、ゴルフのメカニズムを知る必要があるということでした。
ゴルフ上達にかかる年月は、プロテストに合格するまでに平均約11年かかるそうです。たとえば、石川遼君は6歳でゴルフを始め、ゴルフ歴10年の15歳11か月で初優勝を果たしています。
「その道のプロとなり、自他ともに一流とみなされるには1万時間練習をしなけらばならないという法則」があるそうです。これは、1日3時間の練習をおよそ10年続けると1万時間という計算になります。もちろん、私たちが1日3時間10年間練習するというのは現実的ではありませんが、うまくなるには相当な練習量が必要だということですね。
そして、上達に必要な要素としては、
- 技術(スイング、リズム、再現性など)
- 体力(筋力、運動神経、持久力など)
- 心(メンタル)
- 考える力(マネジメント力、学ぶ力) などがあります。
井上コーチは、これらの分野をバランス良く鍛えて、最短で上達できるカリキュラムを用意し、それを続ければ、新入生でも1年後には100が切れ、ゴルフ部で活躍できる3年以内に70台のスコアを出せるようにもなれるとしています。
具体的なメニュー
1年後に100を切るためには、「トスバッティング」「ラウンド」「試合」が基本として必要と井上コーチは言います。それに自宅練習も加われば3年間で70台も可能になるそうです。
- 週3回の練習場での練習(1~2時間)
- 年間50ラウンド
- 年間3試合以上の出場
- 自宅での素振り100回以上と30分間のパット練習
特に初心者は、10回くらいショートコースをラウンドすることで、たくさんのホールアウトを経験することが必要である、と井上コーチは言っています。さらに、90を切るにはショートコースを回るだけで十分だとも。
目標達成とゴルフスイング
技術を身に付けるには手順があり、その手順を間違えてはいけないと井上コーチは本書で説き、そこでのポイントを「型の習得」だとしています。型とは、スイングの7つの項目ことです。具体的には・・・
- アドレス&グリップ
- ハーフウェイバック
- トップ
- ハーフウェイダウン
- インパクト
- フォロースルー
- フィニッシュ の7つです。
最初はボールを打たずに、この型の習得から入り、徹底的にカッコイイスイングにすることが肝心だそうです。そして、プロのスイングを真似して、物まねキングになることがお勧めです!良いスイングの中にこそ、正しいインパクトがあるので、プロのスイングを真似して、型を身に付けることでやがて狙ったボールが打てるようになるのだそうです。
また、アドレスとインパクトは同じではない、むしろ違うということを意識する必要もあるそうです。アドレスとインパクトの現実的な違いは、
- アドレス時のグリップエンドの位置とインパクト時のグリップエンドを比べると、インパクト時には10cm程度グリップエンドが飛球線方向に出ている、ハンドファーストになっている。
- 手の位置もインパクトでは10cmほどハンドアップしている
- 左手がインパクト時には掌屈(左手首が手の平側に折れている)している状態になる
- 左腕は外側に外旋し、フィニッシュに向かう というものがあるそうです。
この中で特に大切なのはハンドファーストとヒンジと呼ばれる左手の掌屈で、この二つができていると、インパクトで左腕とクラブが一直線になり、クラブフェースを開かずに当てることが可能になるそうです。また、インパクトの瞬間にたわんでいた右ひじが伸び、これにより左腕が外旋しフォローに向かっていくということです。
トラックマンユニバーシティを卒業する
井上コーチは、弾道測定器トラックマンを用いて、学生たちにクラブがどう動くとどんな球が出るのかを理解させました。そして、その効果を最大効率化するために学生たちに「1ヶ月以内にトラックマンユニバーシティ(認定試験)を卒業する」というミッションを課し、学生たちは全員これをクリアしたそうです。
これにより、部全体がほかの大学生ではできない取り組みや時間の使い方をすることが可能となったわけです。
認定試験自体には、質問に答えられればそれで十分なのだそうですが、東大生は少し違っていて、そこに揚力や区力など、自分独自の目線から一段上の次元で理解をしようとするそうです。これはまさに東大生ならではと井上コーチは述べており、将来、こういう学生たちがゴルフのボールやクラブの開発に携わったときにはその能力は計り知れないとも言っています。
本書から応用できると考えること
本書ではまだアプローチの打ち方やパット練習の仕方についても井上コーチの練習方法が披露されているが、今回は自分の練習メニューに参考になる範囲ということで、本書からの紹介もここまでにしたいと思います。
私たちもできるだけ練習場やゴルフ場に通うようにと思ってきましたが、練習を頑張りすぎるのか、すぐに身体に不調を来してしまい、まだ定期的かつ継続的な練習体制を敷くことができてきませんでした。
アスレティックトレーナーの森本貴義さんの「おうちゴルフ」に関するエクササイズや呼吸法だけは細々と私、彩子一人で続けておりますが、足りません。やはり、プロに指導を受けた内容をときどき練習場に行って復習するだけでは目標達成のために進歩は達成できないと感じております。
そこで、この書籍から得た情報を基に、自分たちなりに練習場メニューとショートコース通い、やがてはゴルフ場年間50回を目指して、再度仕事とのスケジュールを調整して、練習を続けていきたいと思っています。
井上コーチの素晴らしいところは、本書の中で、スイングの理論をきちんと説明してくれているところだと感じました。もう一度、その部分を読み返して、自分の型を徹底して身に付けていきたいと思います!
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
「費用対効果、時間帯効果を考えて練習をマネジメント」する
「ゴルフの上達は常にミスからの修正である」