「時制の一致」、日本語とは違う英語の言語構造を意識しよう!従節の動詞の運命は、主節にしたがうというルールを身につけよう。

「時制の一致」と聞くと苦手意識をもつ英語学習者も結構多いようです。

私の友人もその一人で、先日、「直接話法と間接話法の使い方」の質問を受けました。

日本語ではあまり使われない「間接話法」を正しく使うには、「時制の一致」が不可欠です。

今回は、その時の説明の要点をまとめてみました。

同じような疑問を抱く方の参考になれば幸いです。

直接話法と間接話法

President Kennedy said in his speech, “This country cannot afford to be materially rich and spiritually poor.”

(ケネディ大統領は、「この国が物質的に豊かでありながら、精神的には貧困な状態にあることは、もはや許されない。」と言った。)

会話や発言を伝える英語には、直接話法と間接話法があります。

直接話法 (direct speech) は、人のことばをそのまま伝える表現方法です。

他方、間接話法 (reported speech/indirect speech) は、人のことばを話し手のことばに直してから伝える表現方法です。

日本語でも間接的にかいつまんで話すことはありますが、これは英語の間接話法とは少し違います。

英語の直接話法と間接話法は、内容を要約したりせずに、そのまま変換することができます。

たとえば、上のアメリカのケネディ大統領のことばを、間接話法に変換することを考えてみましょう。

President Kennedy said that this country could not afford to be materially rich and spiritually poor.

that以下の節がケネディ大統領のスピーチの内容です。

このときに、現在形の「cannot」は、その過去形である「could not(/couldn’t)」に変化します。

この変化を時制の一致と言います。

日本語ではむしろ直接話法で発言された語句そのものを伝えるか、その内容を要約したり、説明するのが一般的です。

英語では、要約するのではなく、違う形としてそのまま言い換えることがなされます。

例: 「私は今、元気です」と彼は言った。
He said, “I am fine now.” (直接話法 direct speech)
He said (that) he was fine then. (間接話法 reported speech)

そして、時制の一致は、この同じ内容を直接話法(会話やことばそのまま)から間接話法に変換した際に、文法的に不自然なものとならないようにするためのルールです。

時制の一致:間接話法への変換

Apple社が、また新しい製品を発表?

Bob: I want to buy a new iPhone which will be released next week!

ボブ:来週発売される新しいアイフォンを買いたいなあ。

このボブの発言を聞いたあなたが、家に帰ってから伝えるにはどう言えばいいでしょうか?

まずは、ボブのことばそのままに、直接話法で言う場合を考えてみましょう。

Bob said, ” I want to buy a new iPhone which will be released next week!

これでOKです。

間接話法ではどうでしょうか?

Bob said that he wanted to buy a new iPhone which would be released the coming week!

that節の中の動詞の時制を、現在形から主節の時制に合わせて、過去形にします。

このときに、直接話法の中で時を表す副詞句等が使われていた場合には、それも含めて時制の一致をさせます。

例文では、「next week」(翌週)が「the coming week」(その次の週)となります。

では次に、話の内容が同じ時点なのか、過去のことなのか、未来のことなのかに分けて、具体例を見ていきましょう。

3つのパターン

1 現在の話

次の例を考えてみましょう。

疲れてぐっすり眠っている様子の虎の子。

「(虎の子は)疲れて眠っているのだと思います。」

I think that the baby tiger is fast asleep.

これを家に帰って、誰かに伝える場合には・・・・

I thought that the baby tiger was fast asleep.

というように、主節も従属節もともに過去形になります。

2 過去の話

では、伝えたい話の内容が過去の話だった場合は、どのように時制の一致は起こるでしょうか。

この二人が内緒で結婚式を挙げたことを、私は気づいていた場合のことを考えてみましょう。

I know that they got married secretly.

(二人が内緒で挙式したことを、私は知っています。)

では、この言葉を後に思い出して発言する場合はどうでしょうか?

I knew that they had got married secretly.

(二人が内緒で挙式したことを、私は(その当時)知っていました。)

過去の発言の時点で、知っていたことが既にそれ以前の過去の内容でした。

すると、主節の動詞(know)が過去形(knew)に変わると、従節の動詞は

過去(got married)よりも一つ前になって、大過去(had got married)となります。

大過去というのは、過去の二つの出来事を示す表現のうちで、より以前に起こった出来事に使うものです。

形としては、「had + 過去分詞」の過去完了形をとります。

3 未来の話

かつては、月に降り立つ日が夢の話だった。

父が幼いころ、「私たちは、いつか月に降り立つでしょう。」と祖母が父に言ったそうである。

これを英語にしてみましょう。

まず、直接話法では、My grandmother said to my father when he was a child, “We will stand on the moon someday.”

次にこれを間接話法にするとどうでしょうか?

My grandmother said to my father when he was a child that they would stand on the moon someday.

過去の時点からみた未来の話は、未来を表す助動詞「will」の過去形「would」を使います。

時制の一致の例外

これまでみてきたように、従節の動詞は主節に一致させるのが原則ですが、例外的にこれをしない場合があります。

それは、次の3つの場合です。

不変の真理 

たとえば、「水は摂氏100度で沸騰する。」というのは、時間に影響されない、不変の真理です。

Water boils at 100 degrees celcius.

これは、この内容を学校の理科の実験で習ったのが過去でも同様で、時制の一致はおきません。

We learned at school that water boils at 100 degrees celcius.

「boils」を過去形の「boiled」にしないように気を付けましょう!

現在も変わらない状態・状況

My mother goes shopping every day in the evening.

お母さんが、毎日夕方買い物にいきます。

お母さんが、毎日夕方買い物に行きますと言いました、という文ではどうでしょうか。

My mother said that she went shopping every day in the evening.

このように時制の一致を起こすと、意味が「かつて夕方に買い物をしていたものだ」という過去の反復動作になります。

ですから、現在も行っているのであれば、時制の一致を起こさずに、go shopping のままにします。

My mother said that she goes shopping every day in the evening. となります。

歴史的事実

ベートーヴェンは、1770年に誕生した。

「ベートーヴェンは、1770年に生まれた。」

Beethoven was born in 1770.

では、この内容を音楽の先生が言ったとするとどうなるでしょうか。

Our music teacher told us that Beethoven was born in 1770.

先生が話してくれたときよりもベートーヴェンが生まれたのはもっと前だと考えれば、大過去かとも思われます。

しかし、その内容が歴史上の事実など、過去であることが明らかな場合には、過去形のままでよいとされます。

最後に

時制の一致は、普段の何気ない会話の中で使われる話の連続性や一貫性を維持するための文法です。

これを意識しないと、相手から怪訝そうな顔で聞かれることになります。

基本的には、過去は大過去に、未来は「would」に助動詞を変えて、いつの話をしているのかを示すと認識しておけば、

大きな間違いはしないと思います。

また、混乱を回避したい場合には、発言内容を” ”でそのまま引用してしまうというあら技もありです。

ただ、いつもこれをしていると成長がないと思われますので、気を付けましょう!

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

この記事を書いた人

saiko

Saiko

アメリカ留学を経て、予備校や学習塾での英語教育に携わること約10年。在職中に英検1級を取得。TOIEC985点。法律関係に転職し、夫婦で同業、共働きしながら現在に至る。留学や受験時代の体験から人の潜在意識や潜在能力に関心を抱く。夫の星二の50歳の誕生日を機に、星二の夢である「ゴルフでシングルに」に一緒にチャレンジするべくゴルフを習い始める。3年で100切りを目指して、趣味の英語と旅行も織り交ぜながら、星二と一緒にゴルフの上達を目指す。楽しく上達がモットー。現在のベストスコアは、117。