先日、基本的な助動詞の使い方を、友人に解説したところ、結構好評でした。
そして、より細かいニュアンスを表現する使い方を知りたいというリクエストがあり、応用編を用意しました。
自分の思いや予測がどれほど強いかは、英文の中では助動詞(法助動詞)の使い分けで表現します。
また、過去の出来事についての自己の考えを発言したい時にも、助動詞は不可欠な存在です!
ここでは、それらについて詳しく説明したいと思います。
英語学習をなさる方のお役に立てれば幸いです!
「可能性・推量」を表す:can/couldとmay/mightとwill/would
たとえば、ある有名人が不祥事を起こしていたという噂があるとしましょう。
Is the rumor true? (噂は本当かしら?)
このとき、Aさん、Bさん、Cさんがそれぞれ違う意見を表明します。
Aさん:「そんなこと、(あの人に限って)あり得ませんよ。」 It can‘t be true.
Bさん:「本当かもしれませんね。」 It may be true.
Cさん:「本当に違いないと思いますよ。」 It must be true.
このように、自分なりの見解を表現するには、法助動詞の使い分けがキーとなります。
では、個別に使い方を見ていきましょう。
なお、法助動詞と一般の助動詞との区別については、別な詳細記事がありますので、ご参照ください。
can/could(可能性)
「can」も「could」も、共に「〜はありうる」と言う可能性を表す法助動詞です。
可能性の実現と言う観点からすると、「can」 の方が「could」よりも高いと言えます。
「could」は、控えめというか、やや自信のない推量となります。
また、疑問文にすると、「本当にそうなの?」と言う強い疑問を提示するものとなります。
Can that woman become a princess? (あの女性がプリンセスになれるの?)
(無理ではないかしら?)と言う意味を言外に含んだ言い方になります。
may/might(推量)
「推量」とは、「物事の状態・程度や他人の心中などを推し量ること。」(goo国語辞典より)です。
英語でも、「may」「might」は、事実や人の心中などを推量するための法助動詞です。
She may come to the party this weekend.
(彼女は、週末のパーティに来るかもしれない。)
この場合、「来る」、「来ない」はどちらもあり得ます。
「might」を使うと、「もしかしたら」とニュアンスになり、来る可能性は低いのが通常です。
will/would(推測)
「will」「would」は、「推測」を表します。
「推測」とは、既知の事実や現在の状況から推し量ることを言います(goo国語辞典より)。
「推量」に比べると、主観的とはいえ、根拠となる事実や状況があると言うことで、より強く判断できると言えましょう。
She will come to the party this weekend. (彼女は、週末のパーティにおそらく来るだろう。)
「would」を使うと、「will」よりも確信が下り、弱い推測となります。
He would be late for the meeting again. (彼は、また会議に遅れるだろう。)
「断定」的推量を表す:mustとcan’t/cannot
「must」は、確信がある場合に、「〜に違いない」と断言する表現です。
You must be tired after such a long trip. (長旅の後で、きっとお疲れでしょう。)
「must」が義務を表す場合には、一般に相手に対して使うことはありません。
でも、「〜に違いない」と断定する場合には、誰に対しても使います。
そして、「〜のはずはない」と言う反対の意味での断定を表現する場合には、注意が必要です。
この場合、「must not」ではなく、「cannot」 又は「can’t」を使います。
You cannot be serious. (冗談でしょう。本気のはずがない。)
「過去の状態や習慣」を表す:wouldとused to
過去に繰り返したことや習慣、(現在は変化してしまった)過去の状態を表す法助動詞に、
「would」があります。
My brother would sit there for hours doing nothing but watch the sunset.
(兄は、何時間も、ただ日の入りを眺めてそこに座っていたものだった。)
このように、「would」は、過去に繰り返していた行動を表現する際に使います。
日本語に訳す際には、「よく〜したものだ」と言う表現が使われることが多いように思います。
「used to」も、同じく、「過去に繰り返したこと」や「過去の状態」を表現します。
ただ「used to」を使うと、「過去に繰り返された行為」や「状態」が「今はそうでない」という意味を含むことになります。
そのニュアンスの違いに注意が必要です。
これは、状態を表す場合に顕著です。
There used to be a big tree in the park. (公園には大きな木があった。)
この「used to」その木は、現在はないと言うことを意味しています。
There used to be a big, old tree in the park.
I used to cry, sitting on the bench by the tree.
こんな風に使います。
「過去に対する推量や非難・後悔」:法助動詞+have+過去分詞
「過去に対する推量」:法助動詞+have+過去分詞
では、「バスの中に手帳を忘れたかも!」って、どう言えばいいでしょうか?
これは、今より前の出来事(過去)についての想像(推量)です。
英語では、時制が重要ですが、現在から過去のことを振り返って考えを述べるには、
「法助動詞+have+過去分詞」の形が最適です。
例の文をこれを使って、英語にしてみましょう。
I may(might) have left my notebook on the bus.
「might」を使えば、「may」よりも「その可能性は低い」と考えていることになります。
このように、過去に対する推量(想像や判断)の内容によって、法助動詞を使い分けます。
いくつか、具体例で考えましょう。
He must have known that they had got married. (彼は、二人が結婚したことを知っていたに違いない。)
I could have come and picked you up then. (その時点で、君を迎えに行けたかもしれない。)
She may have visited us while we were traveling. (彼女が、私たちの旅行中に訪ねてきてくれてのかもしれない。)
なお、「〜かもしれない」で、can/couldとmayでは同じ訳になりがちです。
違いは、意味の上で、can/couldには、物理的・客観的な可能性がなかったとは言えないと言う意味が含まれる点です。
その否定形である「cannot/can’t/couldn’t」の場合には、「〜したはずがない」と可能性を否定する意味になります。
She couldn’t have done it by herself. (彼女一人でできたはずがない。)
法助動詞(may/must/could/should/cannot)
「過去に対する非難・後悔」:法助動詞+have+過去分詞
「今朝は6時に起きるべきだったのに」(実際には、寝坊してしまった。)
「なんであのとき、あんなことを言ってしまったのだろう」(あんなこと、言わなければよかった。)
このように、特定の法助動詞と完了形(have+過去分詞)を使うことで、
過去にしたことに対する後悔や、過去の行為への非難が表現できます。
その特定の助動詞とは、should/ought to です。
具体例を挙げます。
I should have slept earlier. (もっと早く寝るべきだった。)
実際には、夜更かししてしまったのですね。
I should have gotten up at six this morning. (今朝6時に起きるべきだったのに。)
6時には起きられなかったわけです。
「ought to」を「should」に代えて使っても同じです。
これは、私の印象ですが、アメリカでは「should」が多く使われ、イギリスのドラマなどでは、
「ought to」を多く耳にするように思います。
「should」は主観的な義務を表し、「ought to」は客観的義務であり、意味としてはより強いとする見解も見受けられます。
否定形「shouldn’t +have+過去分詞 」では、逆に、「しては行けないことをしてしまった」と言う意味になります。
He shouldn’t have used violence. (暴力を使うべきではなかったのに。)
実際には、暴力を使ってしまったと言う状況です。
最後に
英語の法助動詞は、自分の気持ちを表すうえでとても重要な働きをします。
ここで紹介した助動詞の、より基本的な使い方は、別な記事で解説しています。
とはいえ、一つ一つの例を全て覚えるのは大変ですし、いざという時に知識だけだと太刀打ちできません。
大雑把な理解から入って、英会話や英文の中で、徐々にそのニュアンスを肌で汲み取るのがベストです。
なかなか自分が直接話したり、書いたりする機会がなくても、海外ドラマや映画などの会話シーンに耳を澄ましてください。
相手の気持ちを探るシーンとその答えに、絶妙な法助動詞が使われています。
それを見るのも、海外ドラマや映画を観る醍醐味です。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。